9月6日に発生した北海道地震は、食業界にも大きな影響を及ぼしています。
震度7を記録した厚真町を中心とした地域では、農地や農道の地割れ、畑の地盤沈下、山崩れによる土砂の堆積など、農業自体ができない状態に。大豆やカボチャ、特産品のハスカップが被害を受けました。
今回の地震の影響、範囲を大きくした最大の原因は、停電です。農業と言えど、大規模な農業経営になればなるほど、電気施設に頼るところも大きく、その影響は計り知れません。中でも北海道を代表する産業の酪農の場合、自動で搾乳する装置を使う生産者も多く、搾乳できなかったことで、乳量、乳質低下の原因になる乳房炎が多発。死亡する乳牛も出ています。牛乳の出荷量は低下。学校給食を優先に配布しているため、都内では、一時牛乳が店頭から消えたスーパーもありました。
加えて、北海道には食品工場がたくさんあります。明治、森永乳業、雪印などの大手乳業メーカーを始め、北海道のじゃが芋を原料にしているカルビー、やはりじゃが芋でポテトサラダなどを作っているキユーピー、畜産に直結している伊藤ハム米久ホールディングスや丸大ハムなどの食肉加工メーカー、その他、マルハニチロの缶詰、冷凍食品工場や日清食品の即席めん工場などなど。いずれも、停電で製造停止に追い込まれました。
農業、畜産、水産と、すべての食の生産地であり、しかもそれを加工する食品工場も多い北海道。地震で電気が止まり、鉄道や道路などのインフラが滞ると、即首都圏に影響が及びます。改めて、自然災害多発国における食の安定供給について考えさせられました。