縄文時代、日本人は、1500種のモノを食べていました。それが、農耕が始まると500種に減り、そして今は、数十種しか食べていないといいます。食の供給が安定されたことで、野草やねずみ、水亀など、採取して食べるものは、労力と確率の面から敬遠されたのでしょう。
そんなに昔ではなく、昭和と今を比べてみましょう。食卓に上る料理の品数は明らかに減っています。一汁三菜の献立はとても無理、という家庭は多いのではないでしょうか。でも食品を作るための原材料まで数えると、今のほうが圧倒的に多いと思います。
例えば昭和の食卓の場合、ご飯は米と水、みそ汁は野菜や豆腐(大豆とにがり)とみそ(大豆と塩と麹)とかつお節と昆布、焼き魚なら魚と塩、煮物なら野菜としょうゆ(大豆と小麦と塩と麹)と砂糖。こんな程度です。
が、今は―。家庭の料理においては、簡便調理品や合わせ調味料を使うことが多くなりました。そして、それらには多くの原材料が使われています。発色や食感をよくするため、保存性を高めるため、形状を安定化させるため等々。先出の豆腐にしても、スーパーで買うことが当たり前になった今、原材料は大豆とにがりの他に、硫酸カルシウム、グルコノデルタラクトン、塩化カルシウムなどの凝固剤、油脂系消泡剤、グリセリン脂肪酸エステル、シリコーン樹脂などの消泡材が使われています。コンビニやスーパーの弁当・惣菜の原材料表示は、文字数が多いため文字はどんどん小さくなり、読めません。外食においても、業務用食品を利用している店がほとんどですから、家庭の料理同様、いえそれ以上に口に入る食材の量は多いでしょう。
ひょっとしたら、平成人は縄文人より多くのモノを食べているのかもしれませんね。