商圏人口が細る中、小売各社は、生き残りのカギを握るのは“お客様の玄関先まで商品を届ける物流”だといいます。特に過疎化が進む地方では、自前で物流を手掛けてドライバーが接客にあたったり、物流業者を活用したりする取り組みが始まっています。
北海道の「コープさっぽろ」は、宅配の小型拠点を道内各地に増やしています。商品の鮮度を守るだけでなく、配送時間を短縮する分、利用者とのコミュニケーションをより密にするためです。過疎化が進み独居老人が急増する中、生協の宅配は重要な社会インフラになっていて、配達員との会話を楽しみにしている高齢の利用者も多いといいます。
一方ダイエーは、お客様の代わりに店内で買い物をし、それをお宅へ配送することを専門に担当する‟コンシェルジュ”を配置する新サービス「お買物らくらく便」の試験運用を始めています。利用対象者を60歳以上に限定。カタログによる受注は、ネットではなく、電話かFAXだけで。受注から梱包、配送までを同じ担当者が行うことで、利用者との個人的な関係を構築し、顧客の囲い込みに繋げるのが狙いです。
買い物代行サービスとしては、シンガポールのベンチャー企業「オネストビー」が日本での展開を本格的に始めました。スマホを使ってスーパーや専門店の商品を注文すると、買い物コンシェルジュが商品を厳選し、それを配達員が最短で1時間以内に届けてくれます。アマゾンフレッシュなど、ネット展開の食品販売とは異なり、地域の店舗で購入する商品を届けるシステムなので、小売店と競合することはなく、むしろ販売量を上げてくれる存在と言えます。