スーパーの精肉売り場。かつて鶏肉と言えば1種類。ももやむねなど部位の違いだけでしたが、最近は、若鶏、○○地鶏、△△鶏といった、さまざまな名前の鶏肉が並びます。
因みに、「若鶏」は別名ブロイラー。孵化後3カ月未満のもので、大量生産を目的に品種改良されているため、少ない飼料で短期間に大きくなります。「地鶏」は、日本農林規格が定める条件をすべてクリアしたものだけに付けられる名称で、在来種由来の血統が50%以上であることなどの他に、平飼いで、しかも1平方メートル当たり10羽以下の環境で飼育していることなど育て方も決められています。「銘柄鶏」は、地鶏のような厳密な規定はありません。若鶏より飼育期間を長くしたり、良質なエサを与えたりすることで、味が良くなるよう工夫されています。
スーパー各社、銘柄鶏でオリジナリティを演出しています。イトーヨーカドーは「奥州こくみ鶏」、イオンは「純輝鶏」、ヤオコーは「香味鶏」、西友は「みちのく鶏」、ライフは「純和赤鶏」と「桜姫」を販売。価格は、「若鶏」の1.6~1.8倍で決して安くはないのですが、健康志向の高まりを背景に、人気上昇中の鶏肉だけあって、よく売れています。国内出荷比率を見ても、若鶏の53%に迫る46%。残り1%は地鶏です。
ブランド鶏が人気なのは、小売りだけではありません。地元産の食材が人気の中、地場産の鶏が欲しいという外食店からの声を受けて、各地に地元開発のブランド鶏が続々登場しています。
米国抜きのTPP、米国との二国間協議等の結果次第では、輸入食品の規制が緩和され、食に対する不安が高まるでしょう。安全安心を求める生活者のニーズは、地元産の食材、ブランド鶏の販売拡大に追い風になることは間違いありません。
月: 2017年8月
券売機の混雑をガチャガチャで解消したサービスエリア
お盆休み中、家族連れで混み合った高速道路のサービスエリア。中でも話題だったのが、舞鶴若狭自動車道西紀サービスエリアです。理由は、31日までの期間限定で展開されている“ガチォ飯”。
お客様は、券売機の代わりに、お金を入れてガチャガチャを回します。出てくるカプセルには、おもちゃならぬ、メニュー名が書かれた紙が入っています。料金は500円。メニューは、天ぷらうどんや唐揚げカレーなど常時売られているもの20種類。平均価格は750円相当、最低価格のメニューでも600円ですから、お客様は、必ず得をします。大当たりもあって、メニューは、牛丼と牛肉そばまたはうどんが食べられる2100円相当の「但馬牛づくしセット」。当たる確率は3%です。
このサービスを始めたきっかけは、会議における社員の「飯は何でもいいねんけど」という一言。お客様は、食べる料理を決めて券売機に並んでいるわけではない。だから自分の番になると迷ってしまい、列が長くなるのだと。実際、ガチャガチャを導入してから、券売機に並ぶ人はほとんどいなくなったと言います。
お得感とワクワク感がウケて、11~13日の3連休には1日最高2千人が利用。メニューを安く提供しているにもかかわらず、フードコートの売上は前年比2割増し、集客力がアップしたことで、サービスエリア全体の売上も増加しました。
お客様が集中する時間、券売機に行列ができて入り口付近が混雑するなど、悩んでいる施設は少なくありません。券売機も、メニューの画像を提示できるタッチパネル式など、選びやすさを考えた開発は進んでいるのですが、やはり問題は、お客様の迷いにあります。迷わせない工夫がガチャガチャとは・・・。ユニークな発想とそれを実行した遊び心に脱帽です。
増えるスーパーのアウトパック化
外食市場では、カスタマイズできることが、最上のサービスであり、強力な武器になっています。サラダショップしかり、サンドイッチショップしかり、鍋専門店しかり、パンケーキ屋ですら、生地からトッピング、ソースまで選び放題の店も登場しています。
一方、最近自由が利かないのが、スーパーです。精肉や惣菜をアウトパック化している店舗が増え、不自由極まりないのです。先日、夫の実家に親戚が集まるので焼き豚を作ろうとスーパーへ。500gの豚肩ロース肉が欲しかったのですが、ありません。聞くと、明日なら準備できるとのこと。翌日に受け取りに行くと、薄い塊。厚みのある塊が欲しかったのですが。バックヤードに行ってみると、以前は合ったスライサーなどの加工機器は、きれいに片づけられていました。これでは、店頭でのお客様の注文には応えられません。
惣菜も同様です。食品メーカーやスーパーのパックセンターがパッケージ化してお店に納品するアウトパック商品が増えています。そのため、好きな料理を必要な量だけ取れるバイキングスタイルの惣菜売り場は少なくなっていますし、メニューは定番料理が増えて店ならではの個性的な商品は見られなくなりました。
人手や衛生の問題を解決してくれるアウトパックですが、商品は画一化されます。お客様の要望には応えられず、店のオリジナリティは希薄になります。スーパー各社は、PB商品の展開に注力していますが、これも同様。客側にとっては、選ぶ楽しさやお気に入りの味を失うことにも繋がります。
外食市場は今、面倒だと避けてきたことに積極的に取り組むことが求められています。それに対してスーパーは、時代の流れに逆行しているように思えてなりません。
枯渇する海洋資源。持続可能な利用推進を
年々、日本の漁獲高が低下し、価格が上がるサンマ。先月13日から札幌市において、サンマなどの資源保護について話し合う国際会議が始まり、日本政府は初めて、国と地域別の漁獲制限を提案しました。加盟国は、日本や中国、台湾など8つの国と地域。サンマをめぐっては、北海道や東北などでの水揚げ量は減少している反面、中国の年間漁獲量は2012年からの4年間で約30倍に激増、台湾の年間漁獲量も4年連続で日本を上回っています。日本の水域に到達する前のサンマを太平洋沖で乱獲しているのではないかと懸念されているのです。日本の提案に対して、中国も台湾も反発。合意には至りませんでした。
一方米国・NY。5/31、サスティナブルと地産地消をテーマに掲げる寿司店「マヤノキ」がオープンしました。この店は、カリフォルニア州・モントレーベイ水族館が開発した、持続可能な魚介類を見分けるアプリ「シーフードウォッチ」を使用。ネタに表示しています。魚介の種類を入力すると、絶滅危惧種なら赤、現状で問題ない種は黄、まったく問題ない種には緑のマークが出現。同じ種類でも、産地によってマークの色は異なるといいます。これに則り、「マヤノキ」では、赤マークの魚介類は決して使わず、代わりに、NY近郊や東海岸産の新鮮なネタを提供しています。
日本においても、漁船の網にかかっても無名のため捨てられてしまう未利用魚を寿司ネタに利用。珍しさや希少性が話題になって繁盛している寿司店があります。店側にとっては食材費が抑えられ、客側にとっては新しい出会いがあり、両得です。
きっと世界中のどの国よりも海の恵みを享受し、それを食文化にまで昇華させた日本。今こそ、枯渇の一途を辿る海洋資源の持続可能な利用を推進する模範国となるべきではないかと思います。