ライフコーポレーションが6月、大阪・西区にオープンさせたBIO-RAL(ビオラル)。“心も身体も健康で美しく豊かな毎日を過ごしてもらいたいと願うスーパーマーケット”をコンセプトにした新業態です。「オーガニック、ローカル、ヘルシー」と「安心、トレンド、高質」をテーマに、通常取り扱う商品を最低限にし、その分、自然派や健康志向の商品を増やしているのが特徴です。
この種の業態の難しさを見事に表しているのが、野菜コーナー。「通常の野菜」「オーガニック」「農家さん直送」
「特別栽培・エコファーマー」と4つの種類で展開されています。「農家さん直送」はほぼ和歌山県の農家から直送されていて、栽培者の顔写真がパッケージに貼られています。そこになぜか群馬県産のよく見るパッケージのほうれん草が。価格は、198円。近くにもう1種、「飛騨ほうれんそう」と書かれたものが258円で売られています。POPに小さく「エコ農産物」とあるだけ。「野菜でエコってどういう意味?」そう思う生活者は多いでしょうね。「農家さん直送」コーナーに、フツーのほうれん草があるのは、その時期、契約農家で収穫できなかったものに関しては信用できる地域の農協から仕入れているからだそう。それなら、「通常の野菜」コーナーに並べたほうが、お客様が混乱しないと思うのですが。
お客様に、商品を通して安全安心と健康を届けたいという気持ちはあっても、それを的確に伝えるのはとても難しいことですし、商品を安定的に供給することも同様に簡単ではありません。モノは調達できても、伝える力がないと売れないのが、この手の商品。売り手の思い込みが強いほど、お客様との温度差が生まれがちです。もう一度スタートラインに戻り、商品自信が強いメッセージを放つような売り場作りを再検討すべきでしょう。