先日、再び「銀座 慈生」に伺いました。おみやげに、“明石の鯛のかぶと”をいただきました。この日、“お向こう”に刺身として出された魚です。早速、焼き物に。かぶとのほかにも身が付いた部位がいろいろ。箸でほじくりほじくりいただきました。身を食べ尽くした後は、迷わずだし取りです。ていねいにアクをすくいながらコトコト。部屋中に香ばしい焼き魚の風味が広がります。
ひと口いただくと、そのまま飲み干してしまいたくなります。この時、思い浮かべたのが、エースコックが11/4に発売した、手間のかかる魚を手軽に味わうことができる新感覚のカップスープ「飲む焼き魚 濃厚魚介醤油スープ」。“焼アジパウダー”をふんだんに加えた、苦味やうま味をしっかりと感じられる魚介しょうゆスープで、まるで焼き魚を食べているような香ばしい風味が広がるといいます。既に試したスタッフによると生臭さもなく、コンビニの塩むすびとの合わせ買いにぴったりだとか。
さて、このおいしいだしをどうしよう。「銀座 慈生」の献立は、ご飯ものから始まります。先のコラムにも書きましたが、春にいただいた“たけのこご飯”のそれはそれはおいしかったこと。今回は、しじみのうま味を十分に引き出したお粥をいただきました。そのうま味が舌に残っていたのか、迷いなくお粥に。だしにご飯を入れて塩を少し。長ねぎのせん切りを添えていただきます。こんなとき思うのです。おいしいものへの執着があってよかったと。素材を前にしてまだ味わえるまだ楽しめると思うだけでうれしくなります。誰でも、おいしいものは大好きです。でも、それを堪能できる幅は、人それぞれです。
そんなことを考えていたら、翌日のSNSに某テレビタレントが発した「生臭いからあら汁が嫌い」という記事。もちろん、鮮度や下処理の如何でいただけないあら汁もあるのでしょう。が、おいしいものには、特有のにおいがあり、それが独特のうま味に繋がっていることもまた事実。それを“臭み”と片づけてしまうのももったいない話だと思うのです。
ワタミが手掛ける新生サブウェイに期待
10/25、ワタミは日本サブウェイを完全子会社化しました。グローバル本部であるオランダのSubway International B.V.(サブウェイインターナショナルビーブイ)と日本におけるサブウェイのマスターFC契約を締結。今後は、ワタミが国内のサブウェイ事業を展開します。
ワタミは居酒屋業態で発展しましたが、近年は宅配食事サービスや介護事業、唐揚げ店、焼肉店やインバウンド向け串焼き肉店など、脱居酒屋依存を目指してさまざまな展開を試みています。特に創業者の渡邉美樹氏が議員を辞めて会長兼社長に復帰してからのワタミは話題が豊富で、私にとって目が離せない会社のひとつになっています。ワタミの素晴らしさは、真面目なところ。立場によってとらえ方はいろいろでしょうが、少なくとも私が見聞き体験してきたワタミ本部の皆さんの商品に対する姿勢は、とても真摯です。
セントラルキッチンでは加工食品はほとんど使わず、基礎調味料からオリジナルの混合調味料を作り、野菜や肉を手切りし、それをキットにして各店に配送しています。そんなワタミが2002年に「日本に有機農業を広げていくこと」を目的に設立したワタミファーム。それを生かし切れる業態として最適と思われたのが、日本サブウェイだったのでしょう。
一方、日本サブウェイは、サンドイッチ業態。とはいえ、日本人にはサンドイッチとして認識されているのかは疑問に思うところ。日本サブウェイは、「野菜のサブウェイ」をアピールしたかったようなのですが、その野菜が魅力的だったかと言えばそうでもなく。加えて、パンを選び、トッピングを選びと面倒なオーダーシステム。プレゼンテーションは頑張っているのに、なぜか満足感が得られない原因はいろいろあります。
さて、日本サブウェイでワタミは何をするのか。おそらく、モスフードサービスのような野菜の押し出し方に加えて、さらに魅力的な野菜の展開を図るのではないかと予想します。渡邉氏のもとには、ハンバーガーのチェーンをやらないかという話が多数持ち込まれていたとか。ハンバーガーでもサンドイッチでもない、おそらくは広角的概念を持ち込んだ新業態になるであろう舞台で、“オリジナル野菜で勝負をかける!”。やっぱり、渡邉氏は飲食業界で活躍すべき逸材です。
米国の「調理医学」と日本の栄養学
米国では近年、医療分野において「調理医学(Culinary Medicine)」が注目されています。調理医学とは、非感染症疾患の予防・治療・予後の心身機能回復を、投薬のみに頼らず、食を通して実現させることを目的にした、米医学界で体系化がスタートして20年足らずの新分野。エビデンスに基づき、症状に応じた食材選び、調理法、食べ方まで、患者の文化的背景も考慮し多角的に探求する学問です。2014年に開発されたハーバード大学医学部監修の指導者養成プログラム「CHEF(Culinary Health Education Fundamentals)」は、教える人も学ぶ人も同時に調理を実践しながらスキルアップを図るレッスン法で、“癒やしの自炊”を提唱しています。
調理医学。まさに、女子栄養大学の創立者・香川綾氏が目指したものです。医学博士である氏は、予防医学の観点から栄養学の重要性を説き、健康的な食事に必要なことは実践力であると調理技術の向上を重んじ、料理の正確な伝承を目的に計量カップ・スプーンを開発しました。例を挙げるまでもないことですが、対象者は一人ひとり、生活環境も嗜好も異なります。病気にならない、病気を快復するための食事を提案するためには、対象者が実行しやすいカタチに合わせることが大切で、そのために求められるのが、栄養学の知識と調理による実践力、分かりやすく伝え、やる気にさせるコミュニケーション力です。しかし、未だかつて栄養士の国家試験に調理技術や伝える力が求められたことはありません。一方、日本の医学部で医師を養成する教育カリキュラムに、栄養学に関する内容は含まれていません。因みに、米国で「CHEF」を開発したのはシェフの経験がある医学博士、日本で1972年「医食同源」を提唱した新居裕久氏も医師であり、中国料理の陳建民先生に師事し、新宿クッキングアカデミーの校長も務めていました。
非感染症疾患の減少がSDGs指標のひとつであることを考えると、栄養学を学び、調理技術を身につけた“シェフドクター”は、世界的に必要とされる存在になるかもしれないといいます。栄養士よ、実践力を身に付けよ!
栄養バランスが取れていた昭和後期の家庭料理
来年2025年(令和7年)は、昭和100年。弊社が毎年作成する「食市場のトレンド2025年」相関図のトレンドキーワードに「昭和100年レトロ」を挙げました。最近は、昭和平成令和と時代を超えてヒットした曲のランキングをしたり、昭和レトロな喫茶店や食堂を紹介したり、テレビ番組でも昭和が多く取り上げられています。
家庭の食の世界でも、今後、昭和の食がいろいろなカタチで注目されるかもしれません。例えば、昭和55(1980)年頃の食事が日本人にとって最も理想に近い栄養バランスだったのではないかと思います。昭和48年高度経済成長が終わり、昭和61年バブル景気が始まるまでの落ち着いた期間。まだ日本の家庭料理の伝統や風習が残っていて、献立は、米を主食にみそ汁、肉や魚の主菜、野菜や豆類の副菜が複数付いた一汁三菜が基本。常備菜や漬物を用意する習慣も残っていました。洋食が家庭にも定着し始め、朝食はパン食という家庭が増えた時期。目玉焼きに付け合わせはキャベツのせん切り、季節の果物に牛乳などの献立。夕食にはハンバーグやポークソテーにサラダといったメニューも珍しくありませんでした。子どもの好みが食事に反映され始めたことも家庭料理の洋食化を後押し。圧倒的に多かった専業主婦は、子どものためにと料理本や料理番組を手本にせっせと洋食にチャレンジ。主婦向けの料理教室も賑わっていました。
昭和の始め。日本の食卓は栄養学的には決して豊かとは言えず、塩気の強い漬物や塩辛などで白飯を何杯もお替わり。エネルギーの主体は炭水化物でした。適度な洋食化は、肉からタンパク質を果菜や葉野菜からビタミンやミネラルを摂取。使用食材も増え、バランスが取れていたと思います。家電進化と核家族化が進んだ家庭で、主婦の牙城となった台所。主は、新しい料理作りを楽しんだことでしょう。ただ、味わったことがない料理も多く、これでいいのかしら?のトライアンドエラーの日々だったことは、想像に難くありません。
プラスチック削減に向けて広がる無料給水所
$1=\160台という円安絶好調の中で米国旅行をした今夏。宿泊したホテルで水道水を沸かし、マイボトルに入れて持ち歩くだけでもかなりの節約になりました。因みに、空港の自販機で売られていたペットボトルの水は500mlで$3.5(560円)。その代わり(?) 搭乗階には、マイボトルに水が入れられる給水機や直接飲める給水機がたくさん設置されています。
世界各地でプラスチック利用の削減への取り組みが積極的に行われている中、米国では多くの州で、ペットボトル入り飲料水の公費での調達を廃止しています。加えて民間も含め、新設のビルには誰でも利用できる給水設備の設置を義務付けています。地方自治体では、市が所有する施設や敷地内でのペットボトル飲料水の販売を禁止する条例を施行。“水道水推進キャンペーン”を展開し、おいしい水道水を提供していることを市民に知ってもらう活動もしています。グランドキャニオンなどの国立公園や大学などでも、ペットボトル飲料水の販売は禁止されていて、代わりに水飲み場や給水機はとても増えています。
この流れは日本にも。東京都水道局は、都内で冷たい水道水がいただける給水ポイント約900ヵ所を地図にまとめてホームページに掲載しています。が、悲しいかな使いづらい。同様のサービスに、REFILL JAPAN(リフィルジャパン)が展開している「リフィルスポットマップ」や、一般社団法人Social Innovation Japan(ソーシャルイノベーションジャパン)が運営するアプリ「mymizu(マイミズ)」などがあり、近くにある給水機や無料でマイボトルに水を入れてくれる飲食店、雑貨店などがすぐに探せます。
今後も、今年のような、いえそれ以上の酷暑の夏が繰り返されるのは確実のよう。ペットボトルの飲料水をできるだけ避け、マイボトルに給水して持ち歩くことは、熱中症予防に役立つと同時に、酷暑の原因でもある地球沸騰化を防ぐことにも貢献します。
近年おせちのキーワード[SDGs・フードロス削減・アップサイクル]
おせち商戦が只中です。今年のおせちトレンドは、「和洋・和中を組み合わせたおせち」「伝統的な和風おせち」「有名料亭・レストランのおせち」「オードブル付きおせち」などだとか。他方この数年、トレンド情報で取り上げたおせちのキーワードには、[SDGs・フードロス削減・アップサイクル]があります。“年の初めは贅沢を味わいたい”というニーズは変わらないものの、“食材をムダにしてはいけない、したくない”という時代の空気感を反映したおせち商品もいろいろ登場していました。
[SDGs]をテーマにしたのが2022年の高島屋のおせちです。ジュースを作る際に残る伊予柑の皮を活用したエサで育てた“真鯛の西京焼き”、商業施設の余剰食品を用いた飼料で肥育した豚を使った“焼き豚”、山の生態系を守るため処分されたジビエの“ソーセージ”や“ハンバーグ”、規格外の野菜を使用した“筑前煮”などが詰め合わされています。[フードロス削減]に動いたのが、ロスゼロ。おせちは販売数をある程度予測して製造しますが、まだ作れるとしても締め切り後に販売することができず、予約数が少ないとそのまま余ってしまいます。23年12月ロスゼロは、それらを「おそち」として会員への販売を始めました。
[アップサイクル]なおせちを23年向けに販売したのは、ローソンです。おせちの製造過程で出る規格外品や端材だけで作ったアップサイクルな「もったいないおせち」を販売しました。“規格外の蟹爪”や“折れ数の子”、“字がズレた寿高野豆腐”や“伊達巻の切れ端”など13品目です。また大阪・泉大津のグローフーズは23年、おせちの「端材の有効利用アイデアコンクール」を開催しました。“伊達巻”“牛すじ”“牛赤身”“鶏のチーズピカタ焼”“合鴨スモーク”の端材を活用するためのアイデアを募集。一般の人のアイデアと自社開発力の協業により端材の商品化を図りました。
飲食店の想定外の残念なサービス
飲食店での残念な体験は、料理の内容よりも、サービス面でのことが多いと思います。大きな期待を抱いて訪問した店の場合は料理のハードルも高くなりますが、そうでないとき、料理は往々にして想定内、一方サービス面は想定外のことが稀に起こります。
宴会場での講演後、場は懇親会に移ります。円卓に着席してのイタリアン。全員が着席する前に注がれたスパークリングワインは、乾杯のときには既に泡はなく。残念ですが、“ありがち”で済ませます。驚いたのは、その後。パンが2個ずつ配られました。私が「ひとつで結構です」と言うと、「ひとり2個ですから」と受け入れてもらえません。しばらくして対面にお座りだった会長がサービスの方に「パンお替わりください」。返事はやはり「ひとり2個ですから」。さすがに同卓の皆さんもびっくり。「私のをどうぞ」と一斉にパン皿を差し出す事態に。“パンの2個縛り”で起こったこの珍事。さすがの私も初めての体験でした。
上野で人気のそば屋へ。メニューにある“二色鴨ざる”の二色とはなんだろう。更科そばと田舎そばの組み合わせ?変わりそばかな?秋だから菊、さつま芋、ごま?などと思いを巡らせ、サービスの女性に尋ねると返って来たのは「2枚ということです」。「同じものが2枚、大盛りということ?」「はいそうです」。運ばれたのは、案の定、普通のそばと田舎そばの組み合わせでした。
「パンはひとり2個ですから」はおもてなしの気持ちからは生まれない言葉だし、メニューにある料理の内容を理解していないのは、サービス担当としては致命的です。人手不足が深刻な業界。すぐに辞めてしまうかもしれないアルバイトにムダな時間は割けないし、多く(?)を求めたら辞めてしまうかもしれないということなのでしょうか。そう思うと、過客に過ぎない私が物申してもという気持ちになり。同時に、もう何でもいいからがんばれ!という気持ちにもなり。愁う秋です。
銀行が「Olive LOUNGE」に大変身!
今年5/27、渋谷西武B館の1、2階、三井住友銀行のあった場所にドドーンと「Olive LOUNGE(オリーブラウンジ)渋谷店」がオープンしました。1階は、三井住友銀行の窓口とATMコーナーに、スターバックスが併設されています。公園通りと井の頭通りに面したカジュアルながらくつろぎ感のある明るい空間です。2階は、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下CCC)が運営するコワーキングスペース「SHARE LOUNGE(シェアラウンジ)」。シンプルな1名席、窓に面した2名席、ソファの4名席のほか、半個室や4、5名で使える会議室も用意されています。プランには、ソフトドリンクプランに加え、スパークリングワインやハイボールが飲み放題のアルコールプランもあります。スナックやクッキー、パン、スープ、ソフトクリームなども食べ放題。アルコールプランがあるからか、味付けうずら卵やチータラなどのおつまみも完備です。1、2階のどちらもグリーンと木を基調とした空間。1階はスタバグリーン、2階はオリーブグリーンで微妙に異なるのかもしれませんが、どちらにしても「Olive LOUNGE」とスタバの親和性は高いと言えます。
「Olive LOUNGE」は、三井住友フィナンシャルグループ(以下SMBC)の個人向け金融サービス「Olive」をモチーフとした新しいコンセプト店で、資産運用等の相談やVポイントの使い方などをレクチャーしたり、金融に関する知識が得られるセミナーなどを開催したりする場でもあります。因みに、SMBC とCCCは資本・業務提携をしている関係で、前者のVポイントと後者のTポイントは、4/22に新しいVポイントに統合されています。
銀行の支店は統廃合が進み窓口業務がどんどん縮小する一方、「Olive LOUNGE」の展開には積極的なようで、10/7には東京・下高井戸にもオープンしました。貯蓄から運用へ。顧客獲得のためのポイント活用。金融業界の舵切りが大胆に行われ、そこに飲食を融合させた空間は欠かせないようです。
食企業発祥の地、知多半島
海に面した温泉旅館を訪ねて知多半島へ。観光地としては余りメジャーではありませんが、食に関してはとても興味深い半島です。
知多半島に位置する半田市には、ミツカンの本社とミュージアムがあります。ミュージアムでは、酢造りの歴史や工程を実物の桶や実際に発酵している様子を見ながら学べると共に、身体を動かしながらそれらを覚えられるアトラクションもあります。米酢はふつう米から造りますが、ミツカンは酒粕を原料にしています。酒造業を営んでいた創業者の中埜又左衛門は、酒と同時に大量に産出される酒粕を上手く利用できないかと考え、酒粕から酢を造ることを思い付いたといいます。
半田市にはビール会社もありました。ここでも登場するのは、中埜又左衛門。と言っても四代目です。明治20(1887)年、敷島製パンの前身である敷島屋製粉場を開業した盛田善平と共に、「丸三ビール醸造所」を設立。数年後には、本格的ドイツビール製造に向けてドイツからビール醸造器械を買い入れ、ドイツ人醸造技師を招いて「カブトビール」を発売しました。「カブトビール」は、東海地方では最大のシェアを持つほどに急成長。今でも醸造所の一部が「半田赤レンガ建物」として残されていて、当時としては先進的な「カブトビール」の販促物をいろいろ見ることができます。盛田善平は、ソニーグループの創業者、盛田昭夫の実家、盛田の関係筋に当たります。盛田も日本酒やしょうゆ、みそなどを製造する醸造会社で、発祥は知多半島の常滑市です。常滑と言えば、急須に代表される六古窯のひとつ、常滑焼が有名。もうひとつ、知多半島の入り口東海市は、カゴメの創業の地です。
海に囲まれた知多半島は、海運業も盛んでした。ミツカンの酢は、半田運河で船に積まれ、握り寿司がブームになった江戸の街に運ばれて行ったのでしょう。(※敬称略)
飲食業界で細分化する二極化
今年5/20のhimeko’s COLUMN「もはや“安上がり”ではないファストフード」の中で、度重なる値上げを断行するマクドナルドに対して一抹の寂しさがあるという一文を書きました。FFが生まれた国、米国でも富裕層と貧困層の経済格差が拡大する中、米国人の74%がFFを贅沢品と考えるようになり、62%は以前のように気楽にFFを食べなくなったという衝撃的なデータが紹介されています。各FFチェーンは、贅沢なイメージを払拭するキャンペーンを実施。物価に便乗して安易に値上げをしているというネット上の批判を否定しているようですが、一度付いてしまった割高イメージを一掃するのは難しいようです。
日本においては、ハンバーガーチェーン各社が高価格商品を展開するなど勢いを付けている一方で、ファミリーレストランは店舗数が減少。特に中価格帯のチェーンが苦戦しているようです。低価格帯のチェーンより品揃えを多くしているもののそれが魅力に繋がっていない、空間的に高めの演出はしているもののフルサービスではなくタブレットや配膳ロボットを使うなど、中途半端さが目立ちます。
経済格差の二極化が拡大する中、飲食業界では立ち位置の選択が難しくなっていると痛感します。東京においては、飲食店の価格は確実に上がっています。今までなら中価格帯と判断されただろう店が開店当初から高価格帯に属する値付けでスタート。既に高価格帯に属していた店はさらに高価格帯にシフトするなど、高価格帯の中でも二極化が生まれていて、それは明らかに円安によるインバウンド消費が背中を押していると思われます。同様に、今まで低価格と思われていたFFでも二極化が生まれていて、大雑把に言えば、ハンバーガーやカレーは上に、丼ものやそば、うどんは下に棲み分けられているのが実情です。
石破茂氏が自民党総裁に選出され、一気に進んだ円高。インバウンド消費が減速したとき、二極化の上の波に乗った飲食店はどうするのか。興味深く見続けようと思います。