紳士服大手が相次いで外食市場に参入しています。人手不足、材料費の高騰、衛生管理にクレーム対応などなど、決して楽な商売ではない外食業。アパレル各社が参入する理由は何でしょうか。
唐揚げ専門店「からやま」やトンカツ店「かつや」をFC展開するコナカ、「焼肉きんぐ」などを同じくFC展開する青山商事。両社とも、今後を見据えた新たな収入源として外食業を選び、その理由として、郊外への出店ノウハウを生かせること、紳士服店と併設することによって空き駐車場を有効利用できることなどを挙げています。
アパレル会社が外食市場に進出する例で古いのは、「コムサ・デ・モード」の系列の「カフェ・コムサ」でしょう。現在約30店舗を展開。全国に広く散らした出店は、ブランド訴求の役割が強いことを意味しています。ユナイテッドアローズも原宿本店にカフェを併設。今はバーにリニューアルして営業を続けています。自動車会社も飲食店を展開しています。メルセデス・ベンツは東京・六本木の「メルセデス・ベンツ コネクション」において期間限定で1200円のこだわりラーメンを販売、トヨタは安息と上質をテーマにしたスタイリッシュなビストロ「インターセレクトバイレクサス」を青山で展開しています。前者は若者の注目を集めるため、後者はブランドイメージの構築とファン獲得が目的でしょう。
他業種が、目的こそ違えど外食市場の利用価値が高いと見ている理由は、食が最も生活者との接点が密な必需品だから。加えて、縦横の幅が広く表現方法が無限にあること、またFCという参入しやすく拡散しやすいシステムが構築されているからです。外食市場の活性は望ましいこと。他業界からの参入も新たな刺激剤になります。