日照不足の次は、猛暑。農畜産物には過酷な夏です

 今年も、ものすごく暑い夏が始まりました。梅雨が長引いて青空が恋しかったのに、既に暑さにうんざりしています。
 でも、よいこともあります。日照不足や長雨の影響で心配されていた野菜の価格が、今月の後半には平年並みになるそうです。農林水産省によると、東京都中央卸売市場での主な野菜の価格は、3日の時点で平年と比べて、レタスが2.7倍、じゃが芋や人参が2倍になっているほか、ピーマンやきゅうり、なすは6割から7割高くなっているとか。葉物野菜は天候の影響を受けやすい印象がありますが、ピーマンやきゅうり、なすといった夏野菜は、安値安定の安心野菜と思っていたので、ちょっとびっくりです。
 今後、猛暑が続くと、レタスやキャベツ、ほうれん草といった葉野菜が値上がりします。それから、かつては暑さで乳牛の搾乳量が減ったり、鶏も夏バテで卵を産まなくなったり、あまりの暑さで豚が倒れたり。人間だけでなく、家畜のための快適な環境作りも必要になります。
 巣ごもりが続き、生活者は健康不安を抱えています。長引く自炊生活の中で、野菜のニーズが高まっています。野菜、特に葉野菜や果菜は、先買いして貯蔵しておくことはできません。猛烈な暑さや強烈な日差しに強い野菜の開発を期待するとともに、野菜加工品を上手に利用するといった生鮮にこだわらない摂取方法を取り入れるなど、意識の変革が必要なときに来ているのかもしれません。

コロナで進むワンストップコンビニ

 新型コロナウイルスで自粛要請が発令されて以降、コンビニ各社は売り上げを落としました。が、一方で、客単価は上がりました。その理由はよく分かります。感染予防を考えたら、遠くて混み混みのスーパーより、近くて空き空きのコンビニに行こうと思うのは当たり前です。特に高齢者は。
 しかも最近のコンビニは、弁当・惣菜、飲料や菓子だけで集客しているのではありません。使用頻度が高い野菜や果物を売り、人気ラーメン店とコラボしたオリジナルのカップ麺を次々に開発し、テレワークで在宅飲酒の機会が増えた客の利用を見込んで酒類を充実させ、家で料理を作ることが多くなった生活者のために基礎調味料や合わせ調味料の商品群をスーパー並みに拡充しています。
 以前、私がコンビニで酒や調味料を購入するのは、「しまった買い置きがない!」という緊急避難的な場合に限られていました。スーパーより値段が高く、しかも小さなサイズなので、割高感、損している感がかなり強かったのです。でも最近は、通常のサイズがあり、しかも安価なPB商品も揃っています。NB商品を選んだとしても、コンビニだから高いという感覚は薄れています。私がそんな感覚になっていったことには、PBの納豆がかなり貢献しています。卵10個入りも、スーパーの通常価格より安いですし、大きさが揃っていない分、L玉が案外の確率で入っていて、得した気分にもなるのです。
 春、通勤路にローソンがオープンしました。向かいには、大手飲料メーカーの本社。その集客を見込んでいた矢先のコロナです。近隣にはマンションも多いためか、戦略を切り替えて弁当・惣菜の種類を絞り、野菜や日配品に力を入れていて、近隣住民にはありがたがられているようです。

近場で楽しむ旅の食体験

 東京都を除外して“go to トラベル”キャンペーンが始まりました。4連休初日の23日、東京だけでなく、大阪、愛知でも、感染者がかなり増えましたから、首長から言われるまでもなく、「家から出ないようにしよう」と思っている人は多かったのではないかと思います。
 新型コロナウイルスの感染防止で自粛要請が出て以来、遠出をしていない生活者に向けて、“食”で旅行気分が味わえる商品や飲食店が登場しています。
 ファミリーマートは東京都と神奈川県の約1000店舗で7/21から期間限定で、“身近なコンビニで気軽に旅気分”をコンセプトに、「気軽に旅気分!北海道&沖縄」フェアを開催しています。普段は地区限定で販売されている売れ筋商品やみやげ商品25品をラインアップしていて、特に沖縄カテゴリーでは、「ファミリーマートコレクション 沖縄風じゅーしぃの素」や「ぬちまーすランチョンミート」など、全国発売の要望もある沖縄ファミマ限定のPB商品を取り揃えています。
 一方、外食市場では、ダイヤモンドダイニングが7/9、東京・上野に、47都道府県を代表する郷土料理や食材を使った料理を取り揃えたビュッフェレストラン「大地の贈り物」をオープンさせました。
 楽天市場では、日本各地の特産品を詰め合わせた「ふっこう復袋」が人気ですし、観光地の高級旅館ならではの名物食品を直販するECサイトは、自宅でちょっと贅沢な旅気分味わいたいというニーズをとらえています。
 旅の楽しみに食体験は欠かせません。このまま感染者が増え続ければ、夏休みも我慢が必要になるかもしれません。近場で旅気分。ニーズはまだまだ続きそうです。

盛り上がるポテトサラダ論争。作れば分かる面倒臭さ

  “ポテトサラダ論争”が、 SNSやテレビのワイドショーを賑わせています。発端は、スーパーの惣菜売り場でポテトサラダを買おうとした子ども連れの女性が、高齢の男性に「母親ならポテトサラダぐらい作ったらどうだ」と言われ、うつむいてしまったという出来事を綴ったツイッター。これに対し、「料理をしたことがないから言える言葉」「自分で作ってみたら分かる」「簡単そうな料理こそ手間がかかる」という反論の声が上がり、ついには、「どんな料理が面倒だと思うか」など、論点の裾野が拡がっています。
 料理というものは押し並べてそうですが、少しでもおいしさの高みを目指そうとすると手間が増えるし、面倒なことが多くなります。ポテトサラダも同様。じゃが芋を皮ごとゆでて熱いうちに潰して下味を付けるから、じゃが芋のコクと甘味、ホクホクのおいしさが味わえるのです。でも、丸ごとのじゃが芋をちょうどよいゆで加減で火を通すには経験が必要ですし、ゆで立ての熱々のじゃが芋の皮を手でむくのは大変です。簡単に作ろうと思えば、皮をむいてカットしたじゃが芋をゆでればいいのですが、それではどうしても水っぽくなります。
 メインディッシュに添えられたり、居酒屋でお通しとして出てきたり、外食市場においてポテトサラダの地位は決して高いものではありません。ポテトサラダとはそういうものだと思っている方は、「ポテトサラダぐらい・・・」という言葉がついて出るのだと思います。
 この夏、在宅勤務で1日3回食事を作っているパートナーに、「そうめん“で”いいよ」「冷やし中華“で”いいよ」などとは決して言いませんように。両方とも、面倒な料理に挙がっていますから。

改めて認識させられたセブンイレブンの技術力の高さ

 7/11、TBSのジョブチューン「セブン-イレブンの中華メニューを超一流中華料理人がジャッジ!」を見ました。セブン-イレブン開発担当者50名が選ぶイチ押し中華メニュー TOP10を、7人の有名中華料理店のシェフが合格、不合格をジャッジするというもの。7人の内4人が合格札を出せば、その商品は合格となります。
 満場一致で合格したのが、「Wガラスープが自慢!6種具材のタンメン(398円)」と「1/2日分の野菜!9種具材の海鮮中華丼(460円)」の2点。両方に共通する評価は、野菜のシャキシャキとした歯応えと、前者はスープの、後者はあんのうま味の奥深さ。満場一致ではありませんが、過半数のシェフが合格を出したのが、「6種具材のこだわり夏の冷やし中華(460円)」「大盛ご飯 5種唐辛子!四川風麻婆丼(460円)」「春巻き/豚肉と筍(88円)」「7プレミアム極上炒飯(298円)」の4点。10点中6点合格で、なんとか面目を保つことができました。(すべて税抜き価格)
 私の想像ですが、シェフたちはおそらく、コンビニ商品としてではなく、料理としての評価をして欲しいと制作サイドから言われていたと思います。もしそうであれば、この評価は素晴らしい結果だと思います。セブンイレブンの技術力の高さを改めて認識させられました。
 番外編としてジャッジされたのが、私のお気に入り「お肉の旨味!ジューシー焼き餃子(230円)」。開発者は皮のもちもち感を最も重視したそうですが、これに対しシェフは「焼きのカリッと感があってのもちもち」と評価は全員不合格。確かにそうなのですが、電子レンジで温め直す商品には難しく、だから敢えてそこは狙わずもちもち感で勝負した商品なのになあ・・・。とついつい開発者に感情移入してしまうのです。

飲食店に今必要なのは食品会社と卸会社の積極的な支援

 自粛解除後、普通営業に戻った飲食店に、客足は戻っていません。店内での新型コロナウイルスの感染を恐れている生活者は多く、飲食店にとってはまだまだ苦悩の日々が続きます。
 そんな飲食店をこれまで助けてきたのは、料金前払い予約アプリだったり、飲食店の売れ残りを安く買い取る‟フードシェア”サービスだったり。居酒屋で余った生ビールを無償でクラフトジンに加工して返してくれる酒造メーカーや、近隣の飲食店が作った弁当を販売してくれるスーパーやコンビニもありました。とにかく飲食店の経営維持を最優先させた支援でした。
 思いも寄らない環境の中で再スタートをしなくてはならない飲食店に今必要なのは、ウイズコロナ下でも持続可能な営業形態への転換です。それを支援するために、食品会社や卸会社の積極的なアプローチが求められています。
 外食の頻度を減らした生活者に選ばれるために、飲食店には今まで以上に差別化が求められるでしょう。驚きや楽しさ、トレンド感や珍しさが大切な要素になります。その意味では、営業活動の中でもメニュー提案の重要性は一段と増すものと思われます。また中食と外食の違いをしっかりと伝え、中食に合った料理の作り方、料理の構成、業務用食材の選び方などのレクチャーも今なら積極的に受け入れてくれるでしょう。
 ほとんどの飲食店が、市場情報と具体的な手法を求めています。この苦境を、“飲食店と共に外食市場を再び盛り上げるチャンスが来た”ととらえ、会社の財産とも言える、技術と経験、情報を総動員して、情熱を持って取り組んでいただきたいと思います。応援しています。

学校再開。でもにぎやかな給食時間は戻らず

 小学校が再開され、給食も元に戻りつつあります。休校中、給食が食べられなくなった子どもたちの栄養格差が心配されていましたから、給食の再開は喜ばしいことですが、それでもまだ地域格差があるようです。
 例えば、兵庫県淡路市は7月から月に1度、ハモや淡路ビーフなど地元産の高級食材を使った「夢と希望のふるさと給食」を、全小中学校で提供すると発表しました。地場産業を支援するとともに、子どもたちが故郷に目を向ける機会にしたいといいます。1食分500円を想定していて、給食費との差額は国が新型コロナ対策のために成立させた第2次補正予算などで賄います。
 一方、新型コロナウイルス感染拡大を懸念して、おにぎり、パンとジャム、デザート、牛乳などパッケージされた食品のみを毎日提供している地域もあります。保護者からは、高学年の子どもたちには量が少ない、栄養が足りないといったクレームも出ているようです。給食風景も様変わりしています。以前は机を向かい合わせにしておしゃべりしながら食べていたのが、今は全員が前を向き、静かにいただきます。
 好きな献立、嫌いな料理、おいしいおいしくないは人それぞれですが、多くの人が懐かしく思うのが、友だちと一緒に食べた給食です。1日も早く、学校ににぎやかな給食時間が戻ってくることを願ってやみません。

解除後の飲食店。選択と責任は客側に

 緊急事態宣言全面解除で県をまたぐ移動も自由になり、自粛要請がすべてなくなったという点では、社会環境は新型コロナウイルス発生前に戻ったと言えます。
 飲食店も営業時間を元に戻し、さあここからというところでしょうが、3密を避けて、消毒して、マスクをして、換気をしてと、感染予防対策を前提に営業するとなると前途多難というほかありません。
 ご存知の通り、飲食店の売り上げは、客の数×客単価。40席の店が3密を避けるために20席にしたら、客単価を倍にするか、回転数を上げるしか売り上げを回復させる手段はありません。これはかなり困難なことです。もしそんなことが簡単にできるのなら、コロナ以前にやっているでしょう。
 はっきり言って、新橋のガード下や恵比寿横丁など猥雑さが魅力の場所には、ソーシャルディスタンスもパーテーションも似合いません。客も望まないでしょうし、感染が怖ければ寄り付かなくなるでしょう。結局は、店側の判断というより、客の気持ちによって感染予防対策はなし崩しになるのではないかと思います。
 人は、そんなに長く我慢はできません。私はマスクを着ける度に、ウイルスという見えない存在をいつまで意識して暮らさなくてはいけないのかと心が暗くなります。生活が変わっただけでもストレスなのに、経済が落ち込み、再びデフレに突入し、これから徐々に生活者一人ひとりに影響が出始めます。そんな先行き不安な中、飲食店に求める楽しさの種類は人それぞれです。その選択における権利と責任は客側にあることを考えてもいいのではないでしょうか。

癒しニーズの市場で流行る“手作り発酵食品”

 家ナカ活動が盛んな今、“ぬか漬け”に挑戦する生活者が増えています。腸活、免疫力アップ、美容&健康と、新型コロナウイルス発生後、さまざまなキーワードでもてはやされている発酵食品。それに加え、先行きに不安があり癒しのニーズが高まるとき、安心感とぬくもりを求める生活者の気持ちは“手作り”に向かい、発酵食品作りがブームになります。
 東日本大震災が起こった2011年、“塩麹”がブームになりました。震災後の安全で安心な食品を口にしたいというニーズと、震災直後のモノ不足の経験が加わり、手作り発酵食品がブームになりました。塩麹ブームが一巡した翌12年は、ヨーグルトに調味料を混ぜ合わせて漬け床として利用する“ヨーグルト漬け”が流行りました。14年はレモンを塩に漬ける“塩レモン”が、翌年に消費税10%と軽減税率の導入が予定されていた16年には、ぬか漬けやみそといった伝統的な発酵食品作りに挑む「仕込み女子」が増えました。女性だけではありません。盆栽のように楽しむ定年後の男性や、 ぬかの配合、発酵状態、漬ける素材に徹底的にこだわる「ぬか漬け男子」も登場。ネット上では、SNSにぬか漬け生活をアップし、「ぬか友」同士の情報交換が活発に行われていました。
 今回のぬか漬けブームでは、ぬか床に名前を付けてペット感覚で大事にしたり、自分好みの味わいに育てるのを楽しんだり、トマトやエリンギ、アボカドなど意外な素材に挑戦したり。何度かのブームを重ねて、ぬか漬けの楽しみ方も多様化しています。

農産物の輸出制限。日本の食糧不足が心配

 新型コロナウイルス拡散防止のため、さまざまな国と地域で移動制限措置がとられました。人の行き来ができなければ、農業従事者も農産物を加工する人も不足します。既に一部の農業大国で、農産物の輸出を制限する動きが出ています。
 例えば、世界最大の小麦の輸出国であるロシアは4/26、予定していた輸出業者への割り当てが終了したとして、小麦の輸出の停止を発表。これに合わせるように、ウクライナやカザフスタンも、小麦の輸出制限をかけました。また米の世界最大の輸出国インドは米と小麦の輸出を停止していますし、第3位のベトナムも一時、輸出を取り止めました。
 一方、米国では、密閉が原因で新型コロナウイルスの集団感染が発生。豚肉加工場が次々と閉鎖に追い込まれました。全米食品・商業労働組合によると、5月上旬までの2ヵ月間に全米で30の加工施設が閉鎖され、食肉加工能力が豚肉で40%、牛肉で25%減少したといいます。これを受けてか、米国産豚肉の最大輸入国である日本では、既に豚肉の価格が高騰しています。
 日本の食料自給率は2018年時点でカロリーベースで37%。米はほぼ100%時給できますが、小麦は9割近くを米国、カナダからの輸入に頼っていますし、豚肉の自給率は50%を切ります。食糧は国防。“自国ファースト”が、米国の専売特許ではないことを痛感する日が来ないことを願います。