スペインで楽しむシェリーとカバ

 先週に続き、スペイン旅行の話を。
 スペインのお酒と言えば、シェリー。ポルトガルのポート・ワイン、マデラ・ワインと並ぶ、世界三大酒精強化ワインです。酒精強化ワインとは、醸造過程でブランデーなどのアルコールを添加することでアルコール度数を高めたワインで、こうすることで、気温が高い地域でも保存がしやすくなり、かつ長期の輸送にも耐えられ、同時に風味に個性を持たせることができます。日本では、ティオ・ペペ (ぺぺおじさん) が最も有名なブランドです。生産地のヘレス・デ・ラ・フロンターレで、ティオ・ペペの製造場所を訪ねました。大きな樽がいくつも並ぶ中、ジャン・コクトーやアイルトン・セナのサイン入りの樽に混ざって、昭和天皇「裕仁」のサインの樽もありました。私は20歳代、ティオ・ペペのフィノを好きになり、そこから、アモンティリャード、オロロソと、いろいろな種類のシェリー酒を堪能しました。今も、よく冷やしたシェリー酒をいただくのが、夏の楽しみになっています。
 お酒繋がりでもうひとつ。スペインでも、ホテルの朝食はビュッフェです。ハモン・セラーノやハモン・イベリコ、ドライサラミのチョリソなどたくさんの肉加工品、多種のチーズが並びます。そして用意されているのが、ワインクーラーで冷やされたスペインのスパークリングワイン、カバ。もちろん、いくら飲んでもいいです。これには感激。イベリコ・セラーノとフレッシュなチーズをつまみに、朝からカバ。シエスタを待たず、朝寝が始まってしまいます。

1000円でしっかり楽しめるスペインのバル

 先月、スペインに行きました。南部のアンダルシア州の街を転々とする旅行です。イタリア同様、スペインも北と南の経済格差は大きく、独立運動が起こっている、バルセロナを州都に置くカタルーニャ州と比較すると、州民1 人あたり生産所得格差指数は3倍の開きがあります。
 そんな南部は、物価が安いです。スペインと言えば、バルとタパス(小皿料理)ですが、タパスは3ユーロぐらいでいただけます。メニューの一番上にあるのは、どこの店もほぼ「ハモン・イベリコ」。イベリコ豚の生ハムです。これがパン皿程度の大きさの皿に盛られてきます。肉や豆の煮込み、チーズも同様。3-4人でつまみ程度にいただくなら、充分な量です。グラスワインは1.5ユーロ程度。ですから、一人1000円もあれば、しっかり楽しめます。
 スペインではメインの食事は昼食です。今でもシエスタの習慣が残っていて、14時から17時、道路に張り出したパラソル付きテーブルを囲んでゆっくりとランチを食べながらおしゃべりをしてお休みします。だから店はほとんど閉店。買い物には不便で、17時の再開を待たなくてはいけません。“郷に入れば郷に従え”と、私も3時間飲んだり食べたりして過ごすのですが、昼のワインは魔物。眠くなるわ、だるくなるわで、もはやショップ巡りの元気はなし。3時間も休んだ後、また仕事に戻れるスペイン人ってすごいと感心した次第です。

ゆっくり、でも確実に拡大するオーガニック食品市場

 米国では、ホールフーズ、トレーダージョーズ、スプラウツなどオーガニックスーパーは馴染みのある存在です。日本でも、米国ほどではありませんが、ナチュラルハウスが国産オーガニック食品の店として35年以上の歴史を刻んでいますし、他にも東京・国立のマザーズや大阪・靭のビオラルなど有機野菜にこだわるスーパーは多く、個店やネットショップなども含めると、オーガニック食品専門店は、決して珍しい存在ではなくなっています。
 通常の野菜より5割ほど高いオーガニック野菜。日本では、なかなか拡がらないのではと思っていました。が、普及のスピードは速くないものの、安全性や環境への意識の高まりで、オーガニック野菜を支持する生活者は確実に増えていると思います。
 早くから、有機野菜に着目していた野菜宅配大手のオイシックス・ラ・大地の3月末時点の宅配定期購入会員数は、16万9000人。計画を上回る数で、3年間で7割伸長しています。同社と提携して専用の売り場を設けるスーパーは全国に約35店。3年間で2倍以上に増えました。
 2年後の東京五輪に向けてインバウンド対応のひとつとして、外食市場においても、オーガニック食材の重要性は高まるものと考えます。
 農林水産省によると、2009年のオーガニック野菜の国内市場規模は、04年比で3.3倍の約1300億円。09年以降、現在まで右肩上がりが続いています。16年末時点の米国の4.7兆円、欧州の3.7兆円には遠く及びませんが、それだけに市場拡大の余地はまだまだあると言えるでしょう。

今年の〆市場はいかに

 今年もいよいよ忘年会の季節。今年の〆市場はどうでしょうか。
 昨年実施されたぐるなびの調査では、“夜の外食の〆のメニューとして思い浮かぶもの”として、デザート・スイーツ類が首位になりました。話題になったのは“〆パフェ”です。10月には東京・渋谷に、北海道発の“〆パフェ”専門店「パフェテリアベル」がオープン。〆に合うようにフルーツとアイスの甘さや酸味を調整した、さっぱりとした味わいのパフェが人気でした。同様に、“さっぱり〆たい”酔客にウケたのが、かき氷。東京・六本木の「yelo」は、朝5時まで営業する店。アルコールを揃えてバーとして運営しているものの、〆のかき氷目当てのお客さんがほとんどだと言います。
 居酒屋チェーン各社も、〆による客単価アップを狙って知恵を絞りました。「養老乃瀧」では、かつてランチ用に販売していた「養老牛丼」を〆メシとして十数年ぶりに復活。一方、「旬鮮酒場天狗」では、深煎りのイタリアンエスプレッソコーヒーを使用したゼリーを、「鳥貴族」は定番のアイスのほか、スペインの揚げ菓子チュロを揃えました。
 飲酒をすると、排尿などで体内の塩分量が低下します。また、アルコールは肝臓で分解され、二日酔いの原因になる猛毒のアセドアルデヒドが発生します。このアセドアルデヒドの分解をスムーズにするために、アラニンやオルニチンといったアミノ酸が必要になります。かつて〆の王道と言われたラーメンには、塩分もこれらのアミノ酸もしっかり入っています。酒を余り飲まない今の若者たちには、そんな体の欲求は起こらないでしょう。〆のバリエーションがスイーツに流れるのも理解できます。

人手不足を追い風に進むキャッシュレス化

 小売りや外食の市場でキャッシュレス化が進んでいます。
 いち早く取り組んだのがコンビニエンスストア。ローソンは春、深夜のレジを無人にする実験をしました。東京都内の数店舗にスマホアプリで決済ができるレジを設置。午前1時から4時までレジを無人にしました。これにより、最大3時間分のレジ作業の労働力を減らせると分析しています。ファミリーマートも経済産業省の指導で、商品に価格情報などを搭載したICタグを貼り付け、客が自分で会計する無人レジの実証実験を同省内の店舗で実施しました。
 外食市場では、ロイヤルホールディングスが10/2、訪日外国人の来店を意識した、現金払い不可の実験店舗「大江戸てんや」を東京・浅草に開きました。この店舗、来店客の約9割が訪日外国人。メニュー数を4種に絞り、決済手段はクレジットカードや「アリペイ」「ウィーチャットペイ」などで、順次増やしていく予定です。プロントコーポレーションも商業施設「二重橋スクエア」に11/8、「プロント」のキャッシュレス1号店をオープン。上層階がオフィスのため交通系カードなど電子マネーを持っている人が多く、受け入れられやすいと判断したそうです。2020年までに30店出店する計画です。
 日本人のキャッシュレス決済比率は2割程度とか。日本では偽札の心配がないこと、貨幣の質がよいのに加え、日本人はお金に対して神聖なものという感覚があり、丁寧に扱うため汚れていません。それが、米国や中国と比べてキャッシュレス化が進まない理由です。ただここに来て、キャッシュレス化がかなりのスピードで進んでいることを感じます。その理由はいう間でもなく、深刻な人手不足です。

健康が心配。草食男子

 草食男子という言葉がマスメディアに初めて登場したのは、2006年。女性に対して淡泊。異性とも肩を並べて草を食べることができる優しい草食動物というイメージから生まれた言葉です。
 最近私が気になるのが、この草食男子です。コンビニエンスストアの調査で、いろいろな場所にある店舗を周りました。その中のひとつが、ビジネス街の店舗。大きなオフィスビルの地下1階、広いイートインスペースが併設されています。昼時、多くのビジネスパーソンがどっと来店します。レジ近くで皆さんが買っているものを拝見すると・・・。
 驚いたことに、男性でボリュームたっぷりの弁当を買っている人はわずか。一番人気は、なんとサラダです。サラダにプラスおにぎりやサンドイッチや具だくさんのスープなどの併せ買い。サンドイッチの中でも、たっぷりの野菜をトルティーヤで巻いたラップサンドが人気でした。
 野菜が足りていない、野菜を食べなくては。男性客のほとんどが、そんな強迫観念にかられているのではないかと思えるような光景でした。まさに草食男子の群れです。デスクワークが中心としても、1日2000kcal程度は必要なのに、足りているのでしょうか。加えて、タンパク質も不足していると思います。もちろん食べ過ぎはいけませんが、20-40代でこのような低栄養の食生活をすると体がそれに慣れてしまい、ますます低燃費になり、太りやすくなるのです。加えて、筋肉量は減り、頭髪にもよくありません。
 朝食と夕食でバランスを取っているのであればいいのですが、行き過ぎたヘルシー志向が返って不健康を誘発しているような気がして、とっても心配になりました。

年代や生活状況に合わせた“大人の食育”を

 メタボ(メタボリックシンドローム)という言葉がすっかり定着。男性もお腹回りを気にするようになり、ご飯の量を減らしたり、コンビニでサラダを求めたり、ジョギングをしてみたり。ここ10年で年代性別問わず、ヘルシー志向が一気に高まったと思います。
 そんな中、「大人の食育」が注目されています。ひとり暮らしを始める若者、外食が多い中年男性、ダイエットに熱中しやすい女性、ひとり暮らしで栄養不足になりがちな高齢者など、それぞれの年代や生活状況に即した食事の摂り方を会得することは、とても大切だと思います。加齢に伴い、基礎代謝も消化機能も低下します。また女性は更年期を境に血圧が上がったり、骨がもろくなったり、気を付けなくてはならないことが多くなります。
 企業活動としては、カゴメが“出張食育講座”を開催。今秋から事業化しました。またキユーピーは介護施設で食育イベントを行い、野菜に雑穀などを組み合わせた“ベジボウル”を提案しています。
 米国NYには、大人向けの食育教室を開催しているレストランがあります。オーナーシェフの“健康な食習慣を伝えたい”という思いから始まったもので、シェフがカウンターで食材の効能や調理法をレクチャーしながら3コースの料理を作り、目の前の客に提供します。テーマは、‟発酵食品”や‟だし”、‟きのこ料理”など。例えばきのこ料理なら、しめじを使って菌類の効果やうま味について説明。みそやしょうゆ、いぶりがっこといった日本の食材も多く登場するといいます。こちらは、“大人の”というより、“大人っぽい食育”ですね。

日本とはちょっとだけ違う東南アジアのおにぎり

 行楽、遠足、運動会と、おにぎりを食べる機会が多い秋。新米で作る塩むすびは、まさに秋のごちそうです。そんなおにぎりは今、海外でも人気者です。ニューヨークやパリ、ロンドンやベルリンなど、おにぎり屋さんは世界中に拡がっています。近年は、コンビニの進出で東南アジアでもポピュラーな存在になっています。もともと米食文化を持つ国々ですから、馴染みやすいのだと思いますが、逆に米食文化があるからこそ、日本のままのおにぎりでは・・・という側面もあるようです。
 例えば、東南アジアの国々では、チキンライスやガパオライスのように具とご飯を混ぜ合わせながら食べる習慣があるため、一口目からご飯と具が一緒に口に入るよう、おにぎりの上に中具がトッピングされています。加えて海苔で真っ黒な見た目もウケないようで、彩りを添えるという意味でもトッピングは不可欠のようです。
 また東南アジアの人が好きなのは、サラサラとした長粒米ですが、日本のジャポニカ米のように粘りがないので、にぎるのが難しいのです。そのため、ジャポニカ米を固めに炊くなどの工夫もしています。
因みにベトナムには、ご飯をぎゅっと押し寿司のように固めてカットした「COM NAM(コムナム)」で具材をはさんで食べる料理があります。ライスサンドのようなものです。ところがベトナム人にとってコムナムは戦時中の貧しいイメージがあるようで、当初、おにぎりに良くないイメージを持っていた人も多かったようです。

ドンキは新しいスーパーのカタチを創れるのか

 ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)は、総合スーパーユニーの全株式(60%)をドンキホーテHDに売却。これによりユニーは、ドンキホーテHDの完全子会社になりました。
 両者は、昨年8月に業務提携を結び、11月にドンキホーテHDはユニーに40%出資したばかり。1年を経たずして100%株主となったわけです。実際、出資後のドンキの行動は早かった。3カ月後には、ユニーが展開する総合スーパー「アピタ」や「ピアゴ」の中から、売り上げが不振だった6店舗を一気に業態転換。「MEGAドン・キホーテUNY」としてリニューアルオープンさせ、売り上げを1.9倍に伸ばしたと言います。ドンキはまた、都内のファミリーマート3店舗で実験的に共同運営を始めていて、こちらも売り上げは、従来と比べて1.25倍のペースが続いているようです。
 ドンキと言えば、通路にまではみ出し、天井まで積み上げられた陳列手法。どこに何があるのか分からないことが却って、こんな所にこんなものがという驚きに変わるワクワク感が魅力です。安売り価格のPOPもドカーンと大きく、多くのスーパーの整然とした店内とは印象が異なります。商品構成や価格設定は本部ではなく各店舗が地域に合わせて決定。PB偏重ではなく、その時々で売れそうな仕入れ品を多数揃えて“編集”することを重視している点も、利益の集約と効率化を優先させるスーパーの施策とは逆行します。
 ドンキのユニークな戦法がユニーを復活させるだけでなく、不振に悩むスーパー業界全体の変革にまで繋がっていくのか、これからが楽しみです。

消費税10%まで1年。軽減税率でなくなる“イートイン”

 来年10月に予定されている消費税10%への引き上げを前に、4日、コンビニエンスストア業界が、客が持ち帰ることを前提に、酒類を除いた飲食料品全てを軽減税率の対象品にすることで、政府と調整に入っていると伝えられました。対外食戦略で拡大路線を続けて来たイートインコーナーについては休憩施設とみなし、「飲食禁止」の貼紙などで対応すると言います。
 コンビニのこの対応策に、軽減税率対象外の外食業界からは批判の声が上がるでしょう。税額2%の差がある上に、“休憩施設”で食事をさせないことの徹底がどれほどなされるのかは、疑問です。因みに、持ち帰れば8%、店内で食べれば10%の線引きが必要なファストフード店では、持ち帰る予定だったのが、会計後、店内で飲食することになった場合、またその逆の場合、お客様の申し出があれば、2%をいただいたり、返したりの対応を検討しているようです。
 3年前、スーパーマ―ケットはこぞってイートインコーナーを開設。店内で購入した惣菜を食べるお客様が増えました。ならばもっと居心地を良くしようと、店側は、テーブルを拭いたり、食べ終わった惣菜の容器を片付けたりするスタッフを常駐させ、焼き立てピザを皿に盛り付け、ワインをグラスで販売するなど、サービスを強化しました。が、これでは外食扱いになってしまうのではという懸念が。消費税10%導入を前に、せっかく始めたサービスを続けるべきかやめるべきか悩んでいたことを思い出します。
 さて今回は待ったなしの様相。スーパーは、イートインコーナーの扱いをどうするのでしょうか。