シロップをかけただけ。シンプルなかき氷が大好きです

 気温が30℃を超えると氷菓やかき氷が売れるようになると言われています。日本各地が酷暑に見舞われた6月最終週。例年より早めに、かき氷をメニューに掲げる飲食店が増えると思います。
 私も、かき氷大好きです。子どもの頃、夏のおこづかいはほぼ、駄菓子屋のかき氷に消えました。大きなかき氷機に氷屋から仕入れた四角い透明な氷を載せ、大きな歯車を勢いよく回します。シャッ、シャッという氷が削られる音を聞いているだけで涼しくなったような気がしたものです。シロップは、いちごとレモンとメロン。練乳や小豆、ましてやアイスクリームやフルーツといったトッピングなどありません。ただシロップをかけただけのシンプルなかき氷。私は、それが一番好きです。
 が、東京のど真ん中には、そのようなかき氷を食べさせてくれる店はありません。シロップではなく果肉たっぷりのフルーツソース、練乳はエスプーマ仕立てと凝りに凝っています。贅沢にフルーツをのせたり、マスカロポーネのソースをかけたり。天然水で作られた氷や自然の寒さだけで作られた天然氷のやわらかで繊細な舌触りは、若い女性たちを魅了しています。当然値段は800円以上。ランチより高いカフェもあります。
 駄菓子屋のかき氷には、遊びながら食べられる工夫がありました。削られていく氷を小ぶりな皿で受け、山になったら真ん中に割り箸をのせ、その上に再び氷を削ります。山になったかき氷を、同じ大きさの皿で上からぎゅうっと押すと・・・。でき上がるのは、かき氷のペロペロキャンディ。「いちごとレモン」と2面の味をオーダーすると、おばさんがシロップをかけてくれます。 “ワンハンドかき氷”。駄菓子屋のおばさんは敏腕マーケターです。